減価償却制度の改正
平成19年度税制改正で、減価償却制度の抜本的な改正が行われました。
【改正内容のポイント】
1. 残存価額及び償却可能限度額の廃止
減価償却費を計算するにあたっては、従来、 下記のような残存価額及び償却可能限度額が設けられていました。
残存価額 ・・・ 取得価額の10%相当額
償却可能限度額 ・・・ 取得価額の95%相当額
今回の改正で、これらの残存価額及び償却可能限度額が撤廃され、 耐用年数経過時点で1円(備忘価額) まで償却することが可能となりました。
この改正により、例えば100万円で取得した機械装置の償却可能限度額については、
改正前 ・・・ 95万円 (取得価額の95%相当額)
であったのに対し
改正後 ・・・ 99万9,999円 (1円まで償却可能)
となりました。
2. 新たな定率法の導入
定率法の償却率が、定額法の償却率の2.5倍とされました。
この改正によって、主な耐用年数の償却率は以下のように変更されます。
|
耐用年数 |
定額法 |
定率法(新) |
定率法(旧) |
|
3年 |
0.334 |
0.833 |
0.536 |
|
4年 |
0.250 |
0.625 |
0.438 |
|
5年 |
0.200 |
0.500 |
0.369 |
|
6年 |
0.167 |
0.417 |
0.319 |
|
8年 |
0.125 |
0.313 |
0.250 |
|
10年 |
0.100 |
0.250 |
0.206 |
|
20年 |
0.050 |
0.125 |
0.109 |
改正後の定率法の償却率は、 いずれも改正前の償却率より高くなっています。
これは、減価償却資産の取得後、早い段階において多額の減価償却費が計上できることを意味します。
例えば、期首に100万円の機械装置(耐用年数5年)を取得した場合の、1年目の償却額は、
改正前は
100万円 × 0.369 = 36万9,000円
であるのに対し
改正後は
100万円 × 0.500 = 50万円
となります。
【適用時期】
平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について適用されます。
【平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産について】
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、 従来どおり償却可能限度額(95%)まで償却した後、翌事業年度以後5年間で1円(備忘価格) まで均等償却ができることとされました。
例えば、取得価額が100万円で償却可能限度額(95%)まで償却した場合の、未償却残高は、
100万円 - 95万円(100万円×95%) = 5万円
となりますので、
その後の5年間で下記のように償却していきます。
1年目 ・・・ 1万円
2年目 ・・・ 1万円
3年目 ・・・ 1万円
4年目 ・・・ 1万円
5年目 ・・・ 9,999円(備忘価額1円)
【今後の減価償却制度について】
今回の改正は、諸外国の減価償却制度との比較の観点から、 抜本的に見直されたという背景があります。
しかしながら、諸外国に比べて、資産区分が複雑であったり、 耐用年数が長い、といった声も産業界等からあがっていますので、 まだまだ国際化に向けて見直す余地があるといえるでしょう。
なお、平成19年税制改正大綱の中にも、平成20年度税制改正に向けて
・ 法定耐用年数や資産区分の見直し
・ 法定耐用年数の短縮特例制度の手続簡素化
等について検討する旨の記載がありましたので、
引き続き減価償却制度が変更されることも予想されます。

