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2006年05月25日

1人当たり5,000円以下の飲食費等の損金算入

 

平成1841日以降に開始する事業年度から、1人当たり5,000円以下の飲食費等であれば、 その全額について損金算入が認められることとなりました。

 

これまで、法人が支出する交際費については、 原則損金不算入であり、中小企業の場合に限って一定額の損金算入が認められていました。

 

 

資本金の額

交際費の取り扱い

1億円未満

400万円以下・・・10%が損金不算入

400万円超 ・・・ 全額損金不算入

1億円以上

全額損金不算入

 

そもそもこの制度は、 かつて好景気の時代に企業全般で交際費の無駄使いが多くなったため、企業の資本蓄積(体力) をいたずらに食い潰さないことを主たる目的として設けられました。その趣旨から考えれば、不景気には廃止されるべき制度といえるのですが、 様々な批判を受けながらも今日までずっと残ってきました。

 

そういった意味では、 今回の制度改正は納税者にとって有利なものといえます。

しかし、その適用にあたっては、 いろいろと注意しなければならない点もありますので、以下、順を追ってご説明していきます。

 

 

【適用開始時期】

 

この規定は平成1841日以降に開始する事業年度から適用されます。

すなわち、例えば9月決算のお客様は平成18101日からの適用ということになります。これは前回お知らせした 「役員給与の損金不算入」の適用開始時期の考え方と同じものといえます。

 

 

【損金算入の対象となる行為】

 

取引先等の対外的な者との飲食その他これに類する行為が対象となります。 よって役員や従業員間による社内接待費は除かれます。

またその他これに類する行為とは、 購入したお弁当や出前、カラオケやスナックといったものが該当します。

 

 

1人当たり5,000円の判定基準】

 

支払金額の総額を参加人数で割った金額で判定します。

例えば支払い総額が20,000円で参加人数が5人の場合には、

 

20,000円 ÷ 5人 = 4,000 ≦ 5,000円   ∴損金算入できる

 

よって「この人は多く飲んだから高い」といったように、 個々人別に判定するものではありません。

また二次会や三次会等で、お店を変更する場合には、 そのお店ごとに5,000円以下の判定を行います。

 

 

1人当たり5,000円を超えてしまう場合】

 

その料金の全額が損金不算入となります。

例えば、お会計が1人当たり5,500円だった場合には、5,000円を超える部分の「500円」が損金不算入となるのではなく、5,500円全額が損金不算入となります。

 

【書類の保存義務】

 

本規定を適用するにあたっては、 以下の事項を記した書類を保存しなければなりません。

・ いつ    →  飲食費等を支出した年月日

・どこで   →  支払先の名称、 所在地

・誰と    →  参加した者の氏名、 関係

・ いくら   →  支出した飲食費等の金額

・ 人数    →  参加人数

 

 

【留意点】

 

以下、本規定を適用するにあたっての留意点をいくつかあげます。

 

 

(1)飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、 お中元やお歳暮と変わらないため、飲食費等には含まれず損金不算入となります。

ただし、飲食店の持ち帰りに要する「お土産代」 は飲食費等に含まれます。この場合は、飲食代とお土産代とを合算して5,000円基準を判定することとなります。

 

  

(2)社内の人数が複数であるのに対して、接待する相手 (得意先等)が1人であっても、 その飲食につき複数の社内の人数が必要であったのであれば、飲食費等に含まれます。なお、 形式的に社外の人を参加させている場合には当然ながら認められません。

 

  

(3)ゴルフ・旅行等に際しての飲食行為については、 主たる目的であるゴルフ・旅行に付随する一連の行為であると考えられます。よって、 飲食行為のみを切り放すことはできず、その支出については交際費に該当し損金不算入となります。

 

 

(4)5,000円以下の判定に関する消費税の取り扱いについては、 その法人の適用している税抜き経理方式又は税込み経理方式に応じることとなります。

例えば1人当たり5,250円であった場合は、 税抜き経理方式では5,000円となり損金算入ができる一方、 税込み経理方式では5,250円で損金不算入となります。

  

(5)保存書類への記載に当たっては、原則として「○○会社、 □□部、△△△(氏名)、卸売先」といったように記す必要がありますが、 その一部が不明な場合や多数参加したような場合には、「○○会社、□□部、△△△(氏名) 部長他10名、卸売先」といった記載方法でも差し支えありません。

(この場合においては、 当然ながらその人数が正確であることが大前提となります。)

 

 

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2006年04月28日

役員給与の損金不算入について

平成18年度の税制改正において、 一定の条件を満たすオーナー社長の報酬については、その給与所得控除相当分が損金不算入となりました。

 

【改正の背景及び当改正が与える影響】

 

これまでは個人事業主が法人成りすることによって、役員報酬については法人で損金算入がなされる一方、 個人の方でも給与所得控除が適用されるため、法人と個人の双方でいわゆる経費を二重控除する節税対策が可能でした。

 

   【個人】

 

収 入

経 費

 

 

 

所 得

 

 

 

   【法人】

収 入

経 費

給与所得控除

所 得

 

 

 

 

→ 節税!

 

 

 

 

 

 

しかし、 平成185月施行の新会社法によって、最低資本金制度が撤廃され (これまでは有限会社300万円、株式会社にあたっては1,000万円が必要でした)、 誰でも容易に会社を設立することが可能となりました。

 この結果、 個人事業主の多くが節税目的で会社を設立することが予想されるため、それを抑制するために、 このような措置が講じられたと考えられます。

 

なお、 給与所得控除額は以下の通りです。

 

収入額

給与所得控除額

180万円以下

収入金額 × 40

65万円に満たない場合は65万円

180万円超

360万円以下

収入金額 × 30% + 18万円

360万円超

660万円以下

収入金額 × 20% + 54万円

660万円超

1,000万円以下

収入金額 × 10% + 120万円

1,000万円超

収入金額 × 5% + 170万円

 

 今改正は、 この給与所得控除に焦点があてられ、一定の要件を満たすオーナー社長に支払った報酬については、 その給与所得相当分が損金不算入とされました。

例えば、 オーナー会社の社長が1,000万円の報酬を受け取る場合は、

 

1,000万円 × 10% + 120万円 = 220万円

 

が法人税を計算する際に加算(損金不算入) され

法人税及び地方税を合わせて、 88万円の増税となります。

(実行税率40%として計算)

 

(注)ただ、この損金不算入相当額は、 法人で課税されるものですので、個人では依然として給与所得控除は適用されます。

 

 

【適用要件】

 

適用要件は

 

同族会社の業務を主宰する役員(一般的には社長ですね) 及びその同族関係者等が、

発行済株式の90%以上を保有し、

かつ

・常務に従事する役員の過半数を占める場合

 

と規定されています。

 

 また、 ここでいう同族関係者等とは

① 業務主宰役員の親族

② 業務主宰役員と事実上婚姻関係と同等の事情にある者

③ 業務主宰役員の使用人

④ 業務主宰役員から受ける金銭等によって生計を維持している者

⑤ 業務主宰役員及び上記①~④の者が同族会社を支配している(持株割合90%以上)場合における当該会社

 

と規定されていますが、 一般的には①の親族の場合がほとんどといえるでしょう。

 

 したがって、

 

社長とその親族で株式の90%以上を保有

          かつ

社長とその親族で常務に従事する役員の過半数を占める

 

場合には、 社長に支払った報酬のうち給与所得控除額相当分が、法人税の計算上、損金不算入となります。

 

(注)

・業務主宰役員とは一人に限定され、 その法人が実際に最も多く給与を支払っている方となります。したがって、社長より専務の方が給与が高い場合には、 専務が業務主宰役員となります(税務弘報2006.5月号より一部抜粋)。

 

・常務に従事する役員とは、 肩書きがあっても実質的に経営に従事していない名目上の役員は除外され、他方、 役員の肩書きがなくても実質的に経営に従事している場合には役員に該当します。

 

 

【適用除外】

 

次に該当する場合には、上記の規定に関わらず、 本制度の適用はありません。

 

直前3事業年度の平均基準所得金額

 

① 800万円以下である場合

② 800万円超3,000万円以下であり、かつ、 基準所得金額に占める業務主宰役員の給与額の割合が50%以下である場合

 

ここでいう基準所得とは、 基本的には

 

法人の課税所得金額 + 業務主宰役員の給与額

 

となります。

 

(注)この他、 欠損金や繰越欠損金がある場合には一定の金額を差し引きます。

 

例えば、

法人の課税所得金額: 300万円

社長の役員報酬:   800万円

 

のケースでは、 基準所得金額は

 

300万円 + 800万円 = 1,100万円 となります。

 

そして、 この基準所得金額の直前3事業年度の平均額が

 

800万円以下

   

  又は

 

800万円超3,000万円以下 

   かつ 

業務主宰役員の給与額/ 基準所得金額 ≦50%

 

の場合には役員給与の損金不参入は適用除外になるという訳です。

 

 

【適用時期】

 

平成184月以降に開始する事業年度からの適用となります。

また持ち株数や役員の割合については期末時点の現況によって判定します。

 

 

【対応策】

 

① 株式を第三者に譲渡又は贈与する

 

 株式を第三者に譲渡又は贈与して、 業務主宰役員及び同族関係者の持ち株比率を90%未満に引き下げる方法です。

 この際、所得税(譲渡所得) や贈与税等の確定申告が必要になってくるのは勿論のこと、適正な譲渡価格でなければ税務上問題が生じます。

また株を第三者に放出することによって、組織上の問題が生じないかを事前に検討することが不可欠といえます。

 

② 役員の数を増やす

 

 信頼のできる従業員等を役員に登用することによって、 業務主宰役員及び同族関係者の役員に占める割合を2分の1以下に引き下げる方法です。

 ただし、 登用した者がこれまでと変わらず従業員としての業務に従事している、すなわち名目上の役員である場合には、 役員の数には含められないことになります。また外部から登用したとしても、それが「常務に従事」に該当しない場合にも、 役員の数には含められません。

加えて、 株式を譲渡する場合と同様、組織の運営上デメリットが生じないかを議論する必要があるといえるでしょう。

 

 

【おわりに】

 

おそらくほとんどの中小企業が、当改正によって増税の余波を受けることになるでしょう。

我々税理士も、 税理士会等を通じて、「当改正に反対する旨の意見書」を数多く出してきましたが、その甲斐も無く、327日に国会の法案を通過してしまいました。

 

 今後、当改正については、 様々な議論が展開されることが予想されますので、その情報を精査した後、あらためて御報告を差し上げたいと思っております。